カメラボディは数年で買い替えても、良いレンズは10年、20年と使い続けることができます。事実、1980年代のオールドレンズが今でも高値で取引されているように、レンズは「資産」です。
正しい保管とメンテナンスで、あなたのレンズを一生モノにする方法を解説します。
1. レンズの寿命は何で決まるのか?
レンズには「消耗品」と「半永久的に使えるもの」の2つの要素があります。
消耗する部分
- ゴム部品(フォーカスリング、ズームリング): 10〜15年で劣化しベタつく
- グリス(潤滑剤): 乾燥すると動きが重くなる
- AFモーター: 長期使用で動作が鈍くなる可能性
半永久的に使える部分
- 光学ガラス: カビやキズがなければ100年でも劣化しない
- 金属筐体: 物理的な破損がなければ永続的に使用可能
結論: 正しく扱えば、レンズは20〜30年使えます。消耗部品はメーカー修理で交換可能です。
2. レンズの「大敵」を知る
- カビ: 高温多湿な環境で発生。一度生えると除去困難。
- 衝撃: 落下で内部レンズがズレると「片ボケ」の原因に。
- 埃・砂: レンズ交換時に内部に侵入し、画質劣化の元凶に。
3. 日常メンテナンスの基本(5ステップ)
レンズキャップは必ずつける
当たり前ですが、これが一番重要。前玉(フロントレンズ)にキズがつくと修理不可能です。バッグから出す時も、キャップを外すのは撮影直前にしましょう。
ブロアーで埃を飛ばす
撮影後、レンズを拭く「前に」必ずブロアー(空気を吹き付けるゴム球)で埃を飛ばします。いきなり拭くと、埃が「研磨剤」となってレンズ表面をキズつけます。
クリーニングクロスで優しく拭く
指紋や油汚れは、マイクロファイバークロス(メガネ拭き)で「円を描くように」優しく拭きます。ティッシュやTシャツは厳禁(繊維がキズの原因)。
防湿庫で保管する
湿度40〜50%を保つ「防湿庫」が理想。予算がなければ、密閉ケース+乾燥剤でもOKです。カビはレンズの最大の敵。夏場は特に注意が必要です。
月1回は「動かす」
使わないレンズも、月に一度はズームリングやフォーカスリングを動かしましょう。グリスが固まって動かなくなるのを防ぎます。「放置が一番の敵」です。
レンズ交換は「低い姿勢」で: 立ったまま交換すると、落とした時のダメージが大きいです。座るか、地面に近い位置で作業しましょう。
保護フィルターは「保険」: 前玉に薄いUVフィルターをつけておけば、万が一ぶつけてもフィルターが身代わりになります(約2000円〜)。
4. こんな症状が出たらメーカー修理へ
- AFが合わなくなった(ピンぼけ写真が増えた)
- ズームリングが異様に重い、または軽すぎる
- レンズ内部に埃が大量に見える(外からは取れない)
- レンズ内にカビが生えた(白い斑点模様)
これらは自力では直せません。早めにメーカーサービスセンターに相談しましょう。
まとめ
レンズは「消費財」ではなく「資産」です。丁寧に扱えば、孫の世代まで使い続けることができます。
毎日のちょっとしたケアが、20年後の写真を支えます。