美しい夕焼けをバックに人を撮ると、顔が真っ暗になるか、背景が真っ白になるか…そんな経験はありませんか？
自然光（背景）とストロボ（被写体）の明るさを別々にコントロールする「ミックス光」をマスターすれば、ドラマチックな映画のワンシーンのような写真が撮れます。
1. なぜ「普通に撮る」と失敗するのか？
人間の目は優秀なので「夕焼け」も「人の顔」も両方明るく見えますが、カメラは明暗差（ダイナミックレンジ）に弱いため、どちらか一方にしか明るさを合わせられません。
そこでストロボを使います。「背景はカメラの設定」で、「顔はストロボの光量」で明るさを決める。これがミックス光の鉄則です。
ストロボ光量 ＝ 顔の明るさ
2. 撮影の3ステップ（実践編）
まずは背景を露出決定する
ストロボをOFFにして、夕焼けが綺麗に写るようにカメラを設定します。人物はシルエット（真っ暗）でOKです。通常、少し暗め（アンダー）に撮ると空の色が濃く出ます。
ストロボを足す
背景の設定を変えずに、ストロボをONにします。人物が適正な明るさになるまでストロボの光量を調整します。カメラの設定はいじらないのがポイント！
光をなじませる
ストロボ光が「いかにもフラッシュしました」とならないよう、ソフトボックスを使って光を柔らかくしたり、オレンジ色のカラーフィルター（CTO）を使って夕日の色に合わせます。
3. さらにクオリティを上げるコツ
夕日の光はオレンジ色ですが、ストロボの光は青白い（昼光色）です。そのまま混ぜると、顔だけ青白く浮いて不自然になります。
ストロボの発光面にオレンジ色のフィルム（CTOジェル）を貼ることで、光の色温度が合い、驚くほど自然になじみます。
まとめ
「背景」と「被写体」を切り離して考える。この思考法が身につけば、夜景ポートレートや曇り空での撮影など、あらゆるシチュエーションで応用が効きます。
自然光に逆らわず、共存する。それがミックス光ライティングの真髄です。